2019年5月26日、西武ホールディングスの発表をもって関東大手私鉄8社(東急・東武・京王・小田急・京成・相鉄・京急・西武)の2019年における事業成績が出揃いましたので、簡単にまとめてみました。
関東だけでなく、全国も入れたざっくりしたランキングはこちら。
結論から書くと軒並み減収の中、西武が大幅に純利益を減らしています。
用語の解説
①「営業収益」:売上高のこと
②「営業利益」:売上高から仕入れたモノの原価・人件費・光熱費などを差し引いた数字
③「経常収益」:本業以外の収益・損益を足した数字
④「純利益」:営業利益から税金を差し引いた数字【例】
・切符を1,000円分売った場合・1,000円を売ったので、①の「営業収益」はそのまま1,000円
・1,000円を売るために、動いていた券売機の電気代やメンテナンス費用、更に1,000円で乗車する電車の電気代・メンテナンス費用、電車の固定資産税などを差し引いた数字が②の「営業利益」
・法人税等を、②から更に差し引いた数字が④の「純利益」になります。
この記事ではこのうち、①「営業収益」・②「営業利益」・④「純利益」をまとめた数字を取り上げます。
注目の3社
東急(業界2位・5/22発表)
【東急 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:1兆1642億4300万円(0.6%)
営業利益:687億6000万円(▲16.1%)
純利益:423億8600万円(▲26.7%)
「東急」に改名してから初の決算となりましたが、今期の売上高は昨年度とあまり変わらず。業界2位をキープしています。
ただ、私鉄業界1位に位置する近鉄Gホールディングスの落ち込みが大きかったことにより、首位との差が縮まりました。
【2019年度の比較】
近鉄GHD …1兆1942億円
東急…1兆1642億円(約300億円の差)
東武鉄道(業界4位・4/30発表)
【東武鉄道 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:6538億7400万円(+5.9%)
営業利益:626億5300万円(▲6.9%)
純利益:355億3000万円(+26.8%)
東武鉄道は、7社の中で唯一純利益が前年増となりました。決算短信を見てもその理由は記載されていません。
今回の決算で名古屋鉄道を抜き、4位に浮上しています。
西武HD(業界6位・5/26発表)
【西武HD 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:5545億9000万円(▲2.0%)
営業利益:568億2300万円(▲22.5%)
純利益:46億7000万円(▲89.7%)
今回の決算で最も落ち込みが大きかったのが西武ホールディングス。特に当期純利益は前年比89%マイナスとなる46億円となっています。
その他4社
小田急電鉄(業界7位・5/14発表)
【小田急電鉄 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:5341億3200万円(1.4%)
営業利益:411億300万円(▲21.1%)
純利益:199億2300万円(▲38.6%)
京王電鉄(業界8位・4/30発表)
【京王電鉄 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:4336億6900万円(▲3.1%)
営業利益:360億2400万円(▲10.1%)
純利益:178億7500万円(▲34.3%)
京成電鉄(業界12位・4/30発表)
【京成電鉄 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:2747億9600万円(5.1%)
営業利益:283億2000万円(▲10.4%)
純利益:301億1000万円(▲22.1%)
京浜急行(業界11位・5/12発表)
【京浜急行 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:3127億5100万円(▲7.8%)
営業利益:294億8900万円(▲26.5%)
純利益:156億5000万円(▲24.4%)
京浜急行は、京王電鉄と順位が入れ替わり11位に浮上しています。
10位の京阪ホールディングスとの差はわずか50億円程度で、来年には10位に浮上する可能性も十分考えられます。
相鉄HD(業界13位・4/27発表)
撮影:通勤特快なんぴょん様
【相鉄ホールディングス 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:2651億円(1.8%)
営業利益:264億2300万円(▲16.4%)
純利益:146億3100万円(▲20.2%)
関連リンク
参考文献
東武鉄道「2020年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
京成電鉄「2020年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
小田急電鉄「2020年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
京王電鉄「2020年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」