【南海】2019年3月期決算は売上高0.2%減、純利益11.5%マイナス…不動産業が要因

2019年4月26日、南海電気鉄道株式会社は「2019年3月期 決算」(2018年4月1日~19年3月31日の営業成績)を発表しました。

上場企業の決算は3ヶ月(四半期)に1度開示されます。今回は4月1日から3月31日までの1年間を振り返る締めの決算となります。

 

 

 

グループ全体

売上高(営業収益):2274億2400万円(▲0.2%)
営業利益:277億4500万円(▲18.3%)
経常利益:238億9800万円(▲19.6%)
純利益:130億2300万円(▲11.5%)

グループ全体の売上高は前年度比0.2%マイナスの2274億2400万円、営業利益は前年度比18.3%マイナスの277億4500万円、純利益は11.5%マイナスの130億2300万円となり、減収減益となりました。

尾崎駅の炎上などが要因かと思われましたが、運輸事業についてはそこまで影響はなく、不動産関係の減少が響いたようです。

南海電気鉄道グループの主要事業と売上構成比は運輸業(38.6%)、不動産業(15.8%)、流通業(13.6%)、レジャー・サービス業(15.1%)、建設業(16.0%)と、不動産業メインが多い昨今の鉄道企業としては珍しく、鉄道などの運輸業が主軸となっています。

 

運輸業

運輸業全体については売上高が1020億5100万円(前年度比+1.2%)、営業利益が150億3300万円(前年度比+0.2%)とほぼ前年度並みでした。

インバウンド効果による空港線の大幅な増収の恩恵を引き続き受けています。今期は8300系を12両投入した他、4代目高野山ケーブルへの更新など設備投資が重なりましたが、収益面では前年度並みという結果に落ち着きました。

一方で、尾崎駅の炎上による消失や2018年の台風21号による関西空港への鉄道アクセスの途絶など災害にも見舞われました。

運輸業には南海電鉄、泉北高速鉄道、南海バスの他、阪堺電気軌道や関西空港交通、徳島バスなども含まれます。

 

不動産業

出典:http://www.nankaifd.co.jp/mansion/index.html

今回もっとも大きなマイナスだったのが不動産業です。

南海電鉄はグループの収益の軸足を徐々に不動産業へとシフトしていくと明言していますが、今期の実績は売上高369億5600万円(前期比10.4%マイナス)、営業利益は47億7600万円(前期比57.9%マイナス)大幅な減収減益でした。

ご意見を頂いたところによると、林間田園都市の土地評価額の減損処理のようです。

南海電鉄の不動産業としてはなんばスカイオの他、分譲マンション「ヴェリテ」などがあります。

 

 

建設業

南海電鉄において、鉄道輸送の次にシェアを取っているのが建設業。南海辰村建設などがここに入ります。

今回の中間決算では首都圏での土木工事などが功を奏し、売上高が452億100万円(前年度比+8.0%)、営業利益は26億5500万円(前年度比+13.6%)と大幅な増収増益でした。

 

 

流通業

流通業については、売上高が334億8200万円(前年度比6.0%マイナス)、営業利益は37億1500万円(前年度比6.0%マイナス)と減収増益でした。

なんば駅地下にある「なんばCITY」のリニューアルや、インバウンドに湧くなんば界隈における外国人観光客へのモバイル決済サービスの導入、泉ヶ丘駅に近接する「エキ・タカ 泉ケ丘タカシマヤ」を開業させたりしましたが、第二四半期でのekimo事業においてテナントとの契約形態変更の影響をズルズル引っ張り、減益となりました。

流通業部門には、Osaka Metroの駅地下店「ekimo事業」の他、ショッピングセンター部門に「なんばパークス・なんば・いずみおおつCITY、アンスリー」などが含まれます。

 

 

レジャー・サービス業

レジャー・サービス業については、売上高が396億4000万円(前年度比+0.7%)、営業利益は19億2200万円(前年度比+4.1%)と増収増益となっています。

なんといってもこの事業のトピックは「みさき公園」の事業撤退でしょう。長年大阪・和歌山人に親しまれてきた、京阪電鉄の「ひらパー」と並ぶ関西遊園地のツートップでしたが、2020年3月31日で事業撤退することが決まりました。

レジャーサービス業には、「みさき公園」などの遊園業、「住之江競艇場における施設賃貸業」が含まれます。

 

参考資料・ツイート

南海電気鉄道『2019年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)』
<http://www.nankai.co.jp/library/ir/tanshin/pdf/190426.pdf>