西武ホールディングス株式会社は、2021年度(経済用語では2022年3月期といいます)の決算を公式サイト内にて発表しています。
それによると、今期の売上高は3968億5600万円、純利益(黒字)額は106億2300万円となりました。
赤字だった前年度と比較すると黒字転換となっていますが、その内実は少し厳しそうな雰囲気です。
上場企業の決算は3ヶ月(四半期)に1度開示されます。今回は4月1日から3月31日までの1年間を振り返る締めの決算となります。
概要・比較
売上高 | 営業利益 | 当期純利益 | |
2020年度 | 3370億6100万円 | ▲515億8700万円 | ▲723億100万円 |
2021年度 | 3968億5600万円 | ▲132億1600万円 | 106億2300万円 |
昨年度との比較。営業利益は赤字なものの、当期純利益が黒字へと戻っています。
…つまり、営業活動以外に何か特別な利益があったということです。
内訳を見てみると、
・子会社株式売却益 373億円
・固定資産売却益 139億円
・雇用調整助成金等受入額 91億円
とあります。
雇用調整助成金は国からの補助金ですが、残る「子会社株式売却益」「固定資産売却益」というのが引っかかりますね。
売却された子会社は「西武建設株式会社」、固定資産は「新横浜スクエアビル、新横浜西武ビル、芝公園2丁目ビル」のようです。
すなわち、保有している子会社やビルを売って、なんとか決算は黒字に持っていったというのが実情のようで、あまり手放しに喜べる状態ではありませんね…
営業活動は?
赤字だった営業活動を、セグメント(部門)別に見てみましょう。
【各部門の営業利益】(内は前年度)
都市交通事業:▲57億円(▲98億円)
ホテル・レジャー事業:▲280億円(▲534億円)
不動産事業:198億円(154億円)
建設事業:39億円(40億円)
その他:▲32億円合計:▲132億円[調整など含]
何よりホテル・レジャー業の不振が深刻で、黒字の業種だけでは支えきれなくなっています。
西武のホテルと言えば「プリンスホテル」が有名ですが、2月に76事業所のうち31施設をシンガポール系投資ファンドへ売却することを決定しています。
鉄道では「他社から車両を譲受する」と読めるようなリリースも出ており、もうしばらくは立て直しに時間がかかりそうです。
関連リンク
参考文献
西武ホールディングス「2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 」
西武ホールディングス『2022年3月期 決算実績概況および「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」の進捗』
日刊工業新聞「西武HDはホテル運営などの役割見直しで飛躍なるか」2022年5月10日