【関西大手私鉄4社】2019年度決算が出揃い。コロナの中、南海だけが増収増益を達成!

2019年5月14日、関西大手私鉄4社(南海・京阪・近鉄・阪急阪神)の2019年における事業成績が出揃いましたので、簡単にまとめてみました。

結論から書くと、南海だけが増収増益となっています。

 

用語の解説

①「営業収益」:売上高のこと
②「営業利益」:売上高から仕入れたモノの原価・人件費・光熱費などを差し引いた数字
③「経常収益」:本業以外の収益・損益を足した数字
④「純利益」:営業利益から税金を差し引いた数字

【例】
・切符を1,000円分売った場合

・1,000円を売ったので、①の「営業収益」はそのまま1,000円
・1,000円を売るために、動いていた券売機の電気代やメンテナンス費用、更に1,000円で乗車する電車の電気代・メンテナンス費用、電車の固定資産税などを差し引いた数字が②の「営業利益」
・法人税等を、②から更に差し引いた数字が④の「純利益」

になります。

 

この記事ではこのうち、①「営業収益」・②「営業利益」・④「純利益」をまとめた数字を取り上げます。

 

 

近鉄(業界1位・5/14発表)

【近鉄GHD 2019年4月~20年3月決算】

営業収益:1兆1942億4400万円(▲3.4%)
営業利益:493億8000万円(▲27.1%)
純利益:205億6100万円(▲42.8%)

今年度最もダメージが大きかったのが近鉄。売上高は1兆円をキープしているものの、純利益は前年の反動で42.8%マイナスとなっています。

やはりコロナウイルスの影響によるインバウンド需要の消失が大きく、1月以降に大幅な減収は響いているようです。これ、1-3月だけでここまでマイナスになるので、その影響をより受けるであろう2020年度はどこまで下がるのでしょうか…

名阪特急の次世代車両である「ひのとり」の影響は、今年はまだ2週間程しか計上されていない(3/31まで)ので寄与していません。

 

代表的な事業の収支

運輸部門(鉄道・バス)
売上:2217億1100万円(2.2%減)
営業利益:276億8600万円(16.0%減)

不動産部門
売上:1612億4800万円(1.8%減)
営業利益:179億1900万円(4.2%減)

流通部門(近鉄百貨店)
売上:3927億9600万円(0.2%減)
営業利益:51億5200万円(33.8%減)

ホテル・レジャー部門
売上:4492億7600万円(6.8%減)
営業利益:▲36億9300万円(-)

 

 

 

阪急阪神(業界3位・5/14発表)

 

【阪急阪神HD 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:7626億5000万円(▲3.6%)
営業利益:951億7000万円(▲17.2%)
純利益:548億5900万円(▲16.2%)

阪急阪神ホールディングスも減収減益。近鉄ほどではないですが、やはり旅行部門で大きくダメージを受けているようです。

ホテル部門は赤字決算、旅行部門も86%もの減益となり、厳しい状態です。その一方、情報・通信部門は増収増益となりました。

 

代表的な事業の収支

都市交通部門(鉄道・バス)
売上:2271億7600万円(4.8%減)
営業利益:400億5600万円(7.8%減)

不動産部門
売上:2360億4600万円(0.5%減)
営業利益:415億1000万円(15.7%減)

エンタテイメント部門(宝塚歌劇団・阪神タイガース)
売上:740億2000万円(0.7%減)
営業利益:116億9500万円(13.0%減)

情報・通信部門
売上:585億7600万円(9.4%増)
営業利益:55億9800万円(6.0%増)

旅行部門
売上:337億6600万円(5.0%減)
営業利益:2億3200万円(86.8%減)

ホテル部門
売上:602億8000万円(7.2%減)
営業利益:▲31億4200万円(-)

 

京阪(業界10位・5/8発表)

【京阪HD 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:3171億300万円(▲2.8%)
営業利益:311億2300万円(▲7.7%)
純利益:201億2100万円(▲6.3%)

近鉄・阪急阪神ほどではないにしても、やはりコロナによるインバウンド需要の減少を受けている京阪HD。

ただ、比較的流通業が堅調のようで、無印良品との提携店舗を中心に業績を下支えしました。

 

代表的な事業の収支

運輸部門(鉄道・バス)
売上:933億6500万円(0.6%減)
営業利益:108億6200万円(3.2%減)

不動産部門
売上:1102億2800万円(7.1%減)
営業利益:169億600万円(3.2%減)

流通部門(京阪百貨店・無印との提携店舗)
売上:981億8600万円(0.5%減)
営業利益:32億5800万円(11.5%増)

レジャー・サービス部門
売上:320億8100万円(4.8%増)
営業利益:13億3600万円(26.5%減)

 

 

南海(業界14位・4/30発表)

【南海電鉄 2019年4月~20年3月決算】
営業収益:2280億1500万円(+0.3%)
営業利益:352億2300万円(+27.0%)
純利益:208億1100万円(+59.8%)

4社の中で今回、唯一無傷だったのは南海電鉄です!

関西空港に直結する運輸業は大きなマイナスだったものの、なんばスカイオが新たに難波駅に開業したことによる増収、及びマンション販売の増加など、不動産に下支えられた今期の業績となっています。

また、ホテルを都市部分に持たなかったことで、今回のインバウンドリスクを回避出来たことが理由にありそうです。

純利益において、京阪ホールディングスや近鉄グループホールディングスを上回る数字を叩き出しています。

 

代表的な事業の収支

運輸部門(鉄道・バス)
売上:1009億8000万円(1.0%減)
営業利益:129億5300万円(13.8%減)

不動産部門
売上:434億8600万円(17.7%増)
営業利益:138億3200万円(189.6%増)

流通部門(なんばパークス等)
売上:323億4800万円(3.4%減)
営業利益:38億3500万円(3.2%増)

レジャー・サービス部門
売上:429億8100万円(8.4%増)
営業利益:27億6200万円(43.7%増)

 

関連リンク

【関東大手私鉄7社】2019年度決算が出揃い。西武が大ダメージ…

【2018年度決算】関西大手私鉄4社、南海以外の3社が増収

 

参考文献

近鉄グループホールディングス 決算短信
https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/common-hd/data/pdf/20200514tanshin20200514160715894400304.pdf

阪急阪神ホールディングス 決算短信
https://www.hankyu-hanshin.co.jp/file_sys/news/7532_5287eae3ba51f1949447d03de9abd2d9c6fb0c49.pdf

京阪ホールディングス 決算短信
https://www.keihan-holdings.co.jp/ir/upload/2020-05-08_kessan.pdf

南海電鉄 決算短信
http://www.nankai.co.jp/library/ir/tanshin/pdf/200430.pdf